〜目標コスト未達の解決法と情報解析の必要性〜




はじめに
本研究会では、研究対象を二つに設定した。
一つはVEを十分にマスタ−した企業において、自然体の中で行われている問題解決の方法を抽出し、整理・統合して、VEの考え方や理念をベ−スに、各種管理技術の長所を視野に入れて、実務に有効な技法を研究した。
二つ目は、VE技法をサポ−トするための環境整備という観点から、VE活動に必要とされる情報の解析・加工とその活用方法を研究した。

3.研究会の活動経緯
@テ−マ1:局面ごとに使いやすい改善手法をVEベ−スで作成する
・自社設計の基本設計完了時点において、目標コスト実現のための改善手法を既存の手法にとらわれず、各種管理技術や各社で実施している実際的な方法の活用、組み合わせを考える。

Aテ−マ2:VE活動の環境整備のための情報の充実と活用
・VEが果たすべき役割とそのために必要とされる情報をVEのジョブステップごとに明確にして、その情報を有効に使うための方法(解析)とデ−タベ−ス化を探るとともに、VE部門がやるべき情報インフラ整備を考える。

4.VEが問題解決の効果的な方法として実感できていない理由
4−1.VEを実践する上での問題点の分類
4−2.VE展開に必要な基盤整備からの分類

5.各社が実施している実際の問題解決の手順と切り口
5−1.主な特徴
5−2.各社が実施している問題解決の手順

6.目標コスト未達の解決法
6−1.対象局面
・テ−マを進めるに際して、「目標コストを実現するための改善手法」をできるかぎり既存のVE手法にとらわれずに各種管理技術や各社で実施している実際的方法の活用・組み合わせによって検討していくことにした。
対象とする局面
@基本設計完了時点の設計段階にあること
A自社設計品であること
Bハ−ド(物)を対象とした活動であること
C「目標コスト実現」のための組織的な改善活動であること

6−2.新応用管理技術としての問題解決(コスト未達)の基本的な考え方
(1)企業内における問題とは

(2)問題解決のツ−ルの必要性
本研究会では、VEの考え方や理念をベ−スに、従来の各種管理技術を視野に入れ、実務に有効な科学的な技法と活用法の研究を進めた。

(3)ツ−ル開発の着眼点
コストは企業にとり重要な問題であり、品質や納期の問題は結局コストに反映されるという観点から、コストを中心として問題解決するツ−ルの開発を進めたのである。

(4)コスト問題の解決フロ−とそのツ−ル
技法の開発では新応用管理技術という観点から、従来の手法をベ−スとしながらも、ここにどのような新規性と利便性を持たせるかという観点から研究を進めた。
コスト問題の解決フロ−として、5つのステップを設定し、これにしたがって研究を進めた。

ステップ1 対象テ−マの選定

ステップ2 コストの未達状況の把握

ステップ3 コスト未達の要因分析

ステップ4 コスト目標達成個所の発掘(コスト低減可能個所の発掘)

ステップ5 コスト目標達成の改善(コスト低減への改善)

6−3.コスト未達の要因と管理技術の応用マップ
要因を解決するのに役立つ手法を各管理技術(VE、IE、QC、その他)の中から抽出して○付けを行い、マトリックス表の管理技術応用マップ(表6−3−1)が作成された。

7.情報解析の必要性
7−1.情報とその解析の重要性
VEで重要なことは解析技術であり、情報がその対象となる。
社内外の関連する情報を収集し、適切な解析方法により、VE活動の各適用段階に見合った、有効な二次情報を整理・保持し使用することが肝要となる。
7−2.VE活動の情報
(1)情報とは
潜在している問題点を顕在化すること、また、改善の必要性が顕在化されている対象に関する情報を多面的に収集し、改善の方向あるいは、ポテンシャルの摘出をはかることが、企業におけるVEの役割であると言える。

(2)VE活動での情報の分類

7−3.VE活動プロセスと必要情報
情報を軸としてプロセスをとらえることによって、企画から製造までを含んで、かつ、VEのジョブプランにも対応した整理の方法をとった。
実際の整理の結果を表7−3−1に示す。

7−4.VE対象の選定のための経営情報の整備
(1)VE対象の選定と企業経営
(2)VE対象の選定のための経営情報の環境整備
(3)経営情報の整備方法

付録1.各社の管理技術の活用状況(ねらい、適用分野、利点、欠点等)
0 Look VE・・・・・・時間が掛かる
1st Look VE・・・・時間が掛かる
2st Look VE・・・・時間が掛かる
ISOシリ−ズ・・・・・・・あくまで国際標準でありそれ自体は管理技術にはなり難い
MONA LISA・・・・・競合製品との比較の中から良いものを選ぶため、画期的なものとはならない
TQC・TQM・・・・・・・問題解決に向いているが、現状打破に弱い部分がある。過剰品質が起こりやすく、コスト意識が低下しやすい
TD法・・・・・・・・・・・・比較対照法のため、画期的なアイデアは期待薄
VT・・・・・・・・・・・・・・関連企業の力を利用する手法で自社の開発力の向上とならない
チェックリスト法・・・・・コストを考慮した設計をするためのもの。画期的なアイデアを出すことにつながらない
ミニVE・・・・・・・・・・・装置全体で実施するには、テ−マが大き過ぎる
製造VE・・・・・・・・・・時間が掛かる

付録2.管理技術の説明シ−ト(ツ−ル名、概要、内容)
NO.1 DR(Design Review)
NO.5 要求仕様定義法
NO.6 Keep&Free
NO.7 部品レイティング表
NO.8 製商品包装率分析
NO.10 DTC
NO.11 問題→機能置換
NO.12 コストプランニング
NO.13 機能仕様評価点
NO.14 スペック連関分析
NO.15 チ−ムデザイン
NO.16 共同VE
NO.17 VE提案制度(対外)
NO.18 原価分析チェックリスト
NO.20 キャリアフロ−分析
NO.21 運送費原単位分析
NO.22 工程分析
NO.23 動作分析

NO.24 運搬活性分析
NO.25 稼動分析
NO.26 マン・マシンチャ−ト
NO.27 有価・無価分析
NO.28 ラインバランス
NO.29 JIT(かんばん方式)
NO.33 不良要因マトリックス
NO.34 FTA/FMEA

NO.36 品質機能展開
NO.39 性能比較・工法選択表
NO.40 s単価法
NO.41 テアダウン
NO.42 DFA
NO.43 VR(バラエティ・リダクション)
NO.46 コンカレント
NO.47 TPM
NO.48 コストトレンド分析
NO.51 ベンチマ−キング
NO.52 コストテ−ブル
NO.53 プライステ−ブル
NO.54 歩掛デ−タ表
NO.55 予算構成
NO.56 取引先マップ
NO.57 集中購買
NO.58 山積み・山崩し(平準化)
NO.59 ABC/ABM(活動基準型原価計算)
NO.60 損益分岐点
NO.61 金型テ−ブル
NO.63 アイデア集