| 第15章 神の経綸について | 
    
    
       「神はその恵みをさらに増し加えて、 
       あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜り、 
       御旨(みむね)の奥義を、 
       自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。 
       それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。 
       それによって、神は天にあるもの地にあるものを、 
       ことごとく、 
       キリストにあって一つに帰せしめ(キリストにおいて完成し、詳訳)ようとされたのである。 
       わたしたちは、 
       御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下(もと)に、 
       キリストにあってあらかじめ定められ、 
       神の民として選ばれたのである。」(エフェソの信徒への手紙1・8〜11) | 
    
    
       「わたしはまた、新しい天と新しい地を見た。・・・・・・ 
       また、聖なる都、新しいエルサレムが、 
       夫のために着飾った花嫁の用意をととのえて、 
       神のもとを出て、天から下って来るのを見た。 
       また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、 
       『見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、 
       人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。 
       もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである。』 | 
    
    
       すると、御座にいますかたが言われた、 
       『見よ、わたしはすべてのものを新たにする。』 
       また言われた、 
       『書きしるせ。これらの言葉は、信ずべきであり、まことである。』 
       そして、わたしに仰せられた、 
       『事はすでに成った。 
       わたしは、アルパでありオメガである。初めであり終りである』」(ヨハネの黙示録21・1〜6) | 
    
    
       世界には、神に求める(御利益(ごりやく)信仰、すなわち自己中心の宗教)と、 
       神ご自身を求める宗教(神中心の宗教)とが存在する。 
       わたしたちが皆、後者に属することは、言うまでもないことである。 | 
    
    
       「あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくして、 
       あなたの神、主を愛さなければならない。」(申命記6・5) 
       神は愛すべき御者であられるがゆえに、全存在をあげて愛すべきである。 
       愛のゴ−ル・インは、言うまでもなく、結婚し、一体となり、一つの霊となることである。(コリントの信徒への手紙一6・17) | 
    
    
       花嫁が、かくも花婿なるキリストを愛し、神のうちに溶けこむことを望むのは、 
       キリストの意志を自分の意志とし、 
       キリストの霊と全く一つになり、 
       キリストにおいて、 
       キリストと共に、 
       キリストのために、 
       キリストの事業に参与し、神の大経綸に参与することを、切に望むがゆえにである。 | 
    
    
       「それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。 
       それによって、神は天にあるもの地にあるもの(全被造物)を、ことごとく、 
       キリストにあって一つに帰せしめよう(万物の回復、完成、栄光化)とされたのである。」(エフェソの信徒への手紙1・10) | 
    
    
       この偉大な神のご計画を実現・成就(じょうじゅ)するためにこそ、 
       神は、 
       キリストにあって、 
       わたしたちを神の民として選び給うたのである(エフェソの信徒への手紙1・11)。 
       つまり、神の経綸(けいりん)に参与するものとして、 
       特別に選び、かつ召命を与え給うたのである。 | 
    
    
       そのために、われわれがどうしても知らねばならないことは、 
       第一に、神のこの御計画を十分に理解することであり、 
       第二は、そのためにただちに献身することであり、 
       第三は、その御計画に実際に参与することであり、それに適応(てきおう)することである。 | 
    
    
       ついに神の時が満ち、 
       ロゴスが人性をとり、 
       この世にメシヤとして降誕される直前、 
       神は、 
       大天使ガブエルをマリヤのところにつかわして、 
       おとめがみごもって男の子を生み、 
       その名はインマヌエルととなえられることを告げしめ給うた。 
       そこでマリヤが言った、 
       「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」と(ルカ1・38)。 | 
    
    
       マリヤは、全人類の救済、全世界の運命のために、 
       「成れかし」と賭(か)けたのである。 
       神が全人類救済に対していだいておられるご計画をみごとに実現・成就するために、 
       全存在すべてを完全にささげ尽くしたのである。 
       かくして、ロゴスは肉体をとり給うたのである。 | 
    
    
       神は、 
       メシヤの初降臨において、 
       ひとりの聖処女の協力、全き献身を必要とされしごとく、 
       キリストの御再臨、万物の回復、完成、栄光化のご計画においても、 
       あなたの全き献身と協力を、切に期待しておられるのである。 |