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スーパーVE構造の巻限界の壁を超えた省エネ技術
他社の攻勢と社内の危機感 1998年、当社はマホービンの独自技術を生かし、ステンレス製の高真空容器を採用した「VE電気まほうびん」を発売した。これは、内容器と外容器のすきまを真空にすることで、従来の断熱材よりも優れた省エネ効果を発揮する画期的商品である。
 ちなみに「VE」とは『バキューム&エレクトリック』の略称で、真空保温と電気保温を融合したマホービンメーカー独自の技術である。
 電気ポットは、ほぼ一日中保温しておく家庭が多く、電気代も小物家電のなかでは比較的高い。実際、当時は3リットルタイプでも50W近い保温電力がかかっていた。
 しかし、このVE方式の実現により、従来は年間10,000円以上かかっていた保温電気代は約2分の1にまで削減され、VE電気まほうびんは業界の省エネNO.1商品として市場を席巻した。世の中に省エネ意識が芽生えたのもちょうどこの頃で、VEの発売を機に家電業界でも省エネタイプの商品を続々登場させていった。
 しかし、3年後の2001年、当社は大きな危機を迎えた。競合他社が消費電力20Wの「VE電気まほうびん」を商品化したことで、『省エネNO.1』の座を奪われてしまったのである。トップメーカーの面子をかけて、他社に勝てる商品をつくらなければならない。そんな危機感が開発部全員の胸に滞るなか、担当者会議の席上で出席者の一人が言った。『他社より1ワット下げたところですぐに追いつかれる。それなら一気に15ワットの商品化を目指そうじゃないか。』


スーパーVE方式への挑戦   2002年、保温電力15ワットの実現を目指して新たな開発がスタートした。開発に携わったのは、数々の電気ポットを手がけてきた山根博志と大須賀剛である。
 従来のVE方式は内容器、つまりお湯を溜める容器自体を真空二重構造にすることにより断熱効果を高めるものだった。しかしこの場合、側面の断熱効果は高くなる一方、底面部分からの熱の逃げが大きくなる。2人はこの点に着目し、数ヶ月を経て、新方式「スーパーVE」構造の試作品1号を作り上げた。
 スーパーVEは、従来のように内容器自体を真空にするのではなく、内容器の外側に高真空の外筒(VEジャケット)を囲むという今までにない方式である。こうすれば、今まで熱が逃げていた底部分も、下まで伸びたジャケットの効果で断熱でき、新たに加わった空気断熱層の効果も生まれる。しかし、出来上がった試作品は、15Wの壁はクリアしていたものの、大きさ、機能面とも商品化には程遠いものであった。開発は振り出しに戻り、商品化実現に向けての再スタートが切られた。
 早速2人は、断熱の核となる『VEジャケット』の練り直しにかかった。まず、コンパクト化のために、従来は3ミリあった真空の隙間をわずか1ミリにまで小さくした。そして、厚みが増すほど熱伝導率が大きくなるステンレス材の板厚も、約0.3ミリにまで薄くした。これらは技術的にかなり困難なものだったが、製造現場の協力のおかげもあり、結果的には長さや径が異なる数パターンのジャケットを作ることが出来た。
開発担当者山根 博志(左)大須賀 剛(右)
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